自己線維芽細胞を用いた皮膚再生治療

自己線維芽細胞を用いた皮膚再生治療は、次のような方におすすめです。

<自己線維芽細胞を用いた皮膚再生治療で期待される効果>
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1) 線維芽細胞とは

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線維芽細胞とは皮膚の真皮層に存在する細胞の一種で、皮膚のハリやツヤを保つために必要不可欠な細胞です。線維芽細胞は、コラーゲン、ヒアルロン酸、エラスチンなど皮膚のハリ・ツヤをもたらす成分を生み出すことでよく知られています。
また、これらのたんぱく質のはたらきで創傷治癒を高めます。
線維芽細胞は、肌の若さを保つうえで非常に重要な役割を果たしています。

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しかし、加齢や紫外線の影響で線維芽細胞は衰えていきます。
その結果、肌のコラーゲンやヒアルロン酸を生み出す活力が低下し、肌は衰えハリやツヤが減ってしまうのです。

2) 自己線維芽細胞を用いた皮膚再生治療

自己線維芽細胞を用いた皮膚再生治療は、患者様の皮膚の一部を採取して、クリーンな環境のもと、細胞を増やして、必要なタイミングで患者さん自身の皮膚に戻す(注射する)治療法です。
採取される皮膚は10mm×5mm程度で、この皮膚を原料に線維芽細胞を培養します。注入される線維芽細胞はご自分の細胞であるため拒絶反応も無く安全性が高いとされています。一度の採取で長期間にわたり、冷凍保存ができます。1回目の施術の後、年齢を重ね、皮膚のハリ・ツヤが気になり始めた時に再び線維芽細胞を皮膚に戻すことができます。また、顔の他の部位や体への注入も可能です。

3) 治療の効果

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肌の真皮のヒアルロン酸やコラーゲン、エラスチンの産生促進により、皮膚を若返らせシワやたるみなどを改善します。また、皮膚のハリやツヤをもたらします。
個人差がありますが、治療後3~6ヶ月程度で修復を実感します。その後、2~3年は体内で働き続けます。

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4) 治療方法と継続治療

線維芽細胞を培養して、増やすために、元となる皮膚を耳の後ろや施術部位に近い組織などから10mm×5mm程度、採取します。採取には局所麻酔を使用するため、痛みを伴うことはありませんが、採取した部位が元の状態に回復するには、数日かかります。
細胞の培養が完了するまで、約2ヶ月間必要となりますので、その間、お待ちいただくこととなります。細胞の培養が完了後、当クリニックでご自身の線維芽細胞を多く含んだ注射液を皮膚のハリ・ツヤが気になる部分に注射します。

注射に用いなかった線維芽細胞は細胞を培養した施設で安全に冷凍保管され、将来、必要な時に再び注射液として皮膚に注射することができます。

注射後は異常等がないことを確認するために3か月間は、月1回程度の間隔で定期的に通院していただきます。
その後は、必要に応じて1年~3年に1回の治療をおすすめします。

5) 治療後の注意

施術当日から洗顔や化粧(メイク)は可能です。
当日の飲酒、サウナ、激しい運動はお控えください。
施術部位に強く圧迫を加えるようなことは避けてください。

6) リスク・副作用

線維芽細胞は、患者様自身の皮膚から作っていますので、ご自身に肝炎やエイズが無い場合、それらを引き起こすウイルスの感染の心配は全くありません。ただし、治療後3か月間は概ね月に一度程度の来院により、下記の有害事象がないことを確認する必要があります

  • 皮膚を切開し、線維芽細胞を採取する際、麻酔を使用します。そのため、施術中の痛みはほとんどありませんが、注射の痛みを感じる場合があります。
  • 動物由来の原材料(ウシ胎児血清)を用いて製造しているため、稀に過敏症を引き起こすことがあります。
  • 注入直後は処置部位に、凸凹が生じる場合があります。
  • 針の痕が残ることもありますが、ほとんど2~3日程度で目立たなくなります
  • 内出血、腫れ、発赤、疼痛、かゆみ、変色、および圧痛などが現れることがあります。(1週間程度)
  • ごくまれに、切り傷が化膿したり、壊死(細胞の死)や変色、着色等の外見的に好ましくない有害事象が起こることがあります。

万が一、副作用が発生した場合、適切に症状を診察し副作用の軽減ができるよう最善の処置を行います。

7) 治療を受けられない場合

  • 局所麻酔に過敏で、線維芽細胞を含む皮膚採取できない場合
  • 治療中の病気があり薬を服用している方(*薬の種類によっては治療をうけることができない場合があります。)
  • 治療する目的の部位が感染している場合
  • 妊娠しているまたはその可能性がある場合

その他、医師が不適切と判断する場合があります。
治療を受ける前に主治医とご相談ください。

8) 治療が中止される場合

次のような場合は、治療を中止することがあります。
場合によっては、患者さんが治療を続けたいと思われても、治療を中止することがありますので、ご了承ください。

  1. 患者さんが治療をやめたいとおっしゃった場合。
  2. 検査などの結果、患者さんの症状が治療に合わないことがわかった場合。
  3. 患者さんに副作用が現れ、治療を続けることが好ましくないと担当医師が判断した場合。
  4. 標準的な細胞培養をおこなった結果、個人差等の理由により治療に必要な線維芽細胞が得られなかった場合。

その他にも担当医師の判断で必要と考えられた場合には、治療を中止することがあります。中止時には中止の理由を説明します。そして、安全性の確認のために検査を行います。また、副作用により治療を中止した場合も、その副作用がなくなるまで検査や質問をさせていただくことがあります。

■第二種 再生医療等提供計画(治療) 届出
自己線維芽細胞を用いた皮膚再生治療  サカイクリニック62  坂井万里

9) 料金

本治療は保険適用されないため、全額自費診療となります。
本治療に係る費用は患者さんの症状、施術回数などにより患者さん毎に異なります。施術する前に詳細な施術料金を提示いたしますので、ご納得いただいた上、施術いただきますようお願い申し上げます。

当院の一般的な治療費用を下記に示します。

【初診料+血液検査】

初診料
5,000円(税込5,500円)
血液検査
10,000円(税込11,000円)

【施術料】

初回(皮膚採取+細胞培養+細胞5cc)
3,000,000円(税込3,300,000円)
2回目以降(細胞培養+細胞5cc)
2,000,000円(税込2,200,000円)

【再診】

再診料
5,000円(税込5,500円)/回

【細胞保管料】

年間保管料 (1年ごとに更新)
120,000円(税込132,000円)

《 キャンセル規程 》

【診察+⾎液検査費⽤】
いかなる理由でも返⾦不可となります。

【施術費⽤】
組織採取前・・全額返⾦いたします。
組織採取後(施術予定⽇の3週間以上前)・・90%を返⾦させていただきます。
組織採取後(施術予定⽇の3週間前以内)・・80%を返⾦させていただきます。

キャンセルに関しましては、クリニックの診療時間外はお受けすることが出来ません。
特にキャンセル締切⽇が年末年始、当院の夏期休暇や休診⽇に重なる場合がありますので、確認の上、⼗分余裕を持ってお申し付けください。

10) よくある質問

Q1. 線維芽細胞について詳しく教えてください。

皮膚の構造は、大きく分けると、表皮と真皮、皮下組織の3層構造になっています。
線維芽細胞は、真皮にある肌にとっても大切な細胞です。
線維芽細胞は、肌を構成する主要なたんぱく質であるコラーゲンとエラスチンや潤いに大切なムコ多糖類であるヒアルロン酸を作り出しています。
線維芽細胞の働きが活発な状態では、真皮の新陳代謝も活発で健康的でハリやツヤのある美肌を保つことが出来ます。

しかし、加齢や紫外線ダメージなどで線維芽細胞の働きや細胞の数が減ると、肌は、ハリを失ってシワやたるみなど肌老化が進みます。

このように線維芽細胞は、肌の若々しさを保つ上で、とても大切な役割を果たす細胞です。
コラーゲンを作り修復を助けたり、様々な役割を持っています。

<参考記事>
線維芽細胞とは?特徴と役割を知って肌老化を防ぐ
真皮とは?構造と役割を知ってエイジレスな美肌を!

Q2. 自己線維芽細胞と脂肪由来幹細胞を使った皮膚再生治療では、効果にどのような違いがありますか?

自己線維芽細胞を用いた皮膚再生治療は、主にたるみやシワなどお肌の老化が気になる方が、肌を若返らせたい場合におすすめです。
一方、自己脂肪由来間葉系幹細胞は幹細胞であるため、必ずしも肌の細胞になるのではなく、神経、血管、脂肪にも変化する多能性があるため、体の老化やお悩み、アトピー性皮膚炎などに向いています。
また、自己脂肪由来間葉系幹細胞を用いた皮膚再生治療にも効果があります。

こうした点から肌だけをターゲットにした再生医療をご希望の方は、自己線維芽細胞を用いた皮膚再生治療がおすすめです。
一方、肌も体も総合的に再生医療を行いたい方には、自己脂肪由来間葉系幹細胞を用いた皮膚再生治療がおすすめです。

サカイクリニック62では、幹細胞治療も線維芽細胞肌再生治療もどちらも行っていますので、カウンセリングでご相談ください。

自己脂肪由来間葉系幹細胞を用いた皮膚再生治療についてはこちら

Q3. 自己線維芽細胞を用いた皮膚再生治療とエクソソーム点滴・注射の違いは?

自己線維芽細胞を用いた皮膚再生治療とエクソソーム点滴は、どちらも皮膚の再生を促す治療法です。
しかし、メカニズムとアプローチが大きく異なります。
自己線維芽細胞治療は、患者自身の線維芽細胞を培養・増殖させて移植することで、肌の再生を促す本格的な再生医療です。
そのため厚生労働省への届け出が必要です。

一方、エクソソーム点滴・注射は、「幹細胞」そのものを使った治療ではなく、幹細胞を培養した上清液に含まれるエクソソームを点滴・注射で投与する治療です。
幹細胞が分泌する成長因子やたんぱく質、脂肪などやエクソソームのはたらきで、全身の細胞を活性化させ、間接的に皮膚再生を促す効果が期待できます。

エクソソーム点滴・注射には次の特徴があります。

● 点滴・注射で手軽に投与が可
● 自己線維芽細胞治療と比べて安価
● 全身の細胞に働きかけるため、広範囲な効果が期待できる
● 効果の持続期間は、自己線維芽細胞治療と比べて短い
● 肌のターンオーバーの促進の効果的
● 肌のハリや弾力の向上に効果的

サカイクリニック62では、エクソソーム点滴・注射も行っていますので、カウンセリングでご相談ください。

エクソソーム点滴・注射治療についてはこちら

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